【変更】公開シンポジウム「1930-40年代の北京?上海及び周辺都市における日本語出版物と文芸文化ネットワーク」

INFORMATION

  • 2025年3月1日(土)13:00~18:00、2日(日)10:00~18:00
  • ハイブリッド型開催(対面?オンライン)
    池袋キャンパス 5号館1階 5121教室

2/21追記
【変更】
開催時間を変更しました。




日中戦争期、戦局の推移に伴って日本の統治下に入っていった中国の各地域では、在留邦人文学者、文化人、新聞人らによる現地出版運動が起り、種々の文芸誌や総合誌、単行本、新聞が発行された。その動きとさまざまな形で切り結びながら中国語の出版活動も展開されていった。戦争末期の上海に目を向けても、印刷用紙の配給が厳しさを増していたとはいえ、大陸新報社は日本語日刊新聞『大陸新報』の発行を継続していたし、新たな総合雑誌『大陸』の刊行に踏み切っていた。また、日本国内における翼賛体制に基づく言論統制の締め付けからの脱出を図るために、企画や編集作業を密かに国内で行い、内務省の検閲を回避するように紙型そのものを北京や上海に送り、現地で印刷?発行するという方法で出版された雑誌もある。このような雑誌の存在も含めて、中国における日本語雑誌に掲載された作品群の考察に向かうなら、そこからは国策一辺倒の路線に回収されえない指向をもった言説や、歴史の重圧に抗って戦時下をまっとうな文学者として生きていこうとした人々の渾身の思いが刻み込まれていることも見えてくる。今回の国際シンポジウムは、特に文芸文化に関わる文献資料を対象として、日中両国の研究者がこれまで取り組んできた中国の主要図書館および日本国内の資料保存機関での調査を踏まえ、そこで発掘された資料を紹介するとともに、戦時下の中国にあって日中文化交渉の過程で生れる文芸文化ネットワーク空間の実像を解明する試みである。

講師

関西学院大学名誉教授
大橋 毅彦(おおはし たけひこ) 氏

専門は日本近代文学。主な著書に『神戸文芸文化の航路』(2024、琥珀書房)、『D?L?ブロッホをめぐる旅』(2021、春陽堂書店)、『昭和文学の上海体験』(2017、勉誠出版)など。

奈良大学教授
木田 隆文(きだ たけふみ) 氏

専門は日本近代文学、特に戦時中国を中心とした外地文学。主な著書に『日本未来派、そして〈戦後詩〉の胎動』(琥珀書房、2024)、『上海文学復刻版』(琥珀書房、2022)、『上海の戦後』(勉誠出版、2019)など。

早稲田大学教授
中村 みどり(なかむら みどり) 氏

専門は中国近代文学、留学生史。近年の研究論文として、「同時代小説としての中国文学と創作における日本語」(『翻訳としての文学流通?受容?領有』水声社、2024)、「内山完造と第三回大東亜文学者大会」(『内山完造研究の新展開』東方書店、2024)など。

国文学研究資料館准教授
多田 蔵人(ただ くらひこ) 氏

専門は日本近代文学。著書『永井荷風』(東京大学出版会、2017)、編著『荷風追想』(岩波書店、2020)、校訂?注解書『断腸亭日乗』(岩波書店、2024~続刊中)など。

本学文学部文学科日本文学専修教授
石川 巧(いしかわ たくみ)

専門は日本近代文学、出版文化。主な著書に『群衆論』(琥珀書房、2024)、『読む戯曲の読み方』(慶應義塾大学出版会、2022)、『幻の戦時下文学』(青土社、2019)、『幻の雑誌が語る〈戦争〉』(青土社、2018)など。

本学大学院文学研究科日本文学専攻博士課程後期課程
王 羽萌 氏

専門は日本近現代文学。主な業績に論文「区分を〈かきまぜる〉—開高健「兵士の報酬」論」(『立教大学日本文学』131号、2024)、論文「「序」であり続ける「学習」—富士正晴「帝国軍隊に於ける学習?序」論」(『立教大学日本文学』129号、2023)、論文「「あたらない」ねらい方—田中小実昌「魚撃ち」論」(『立教大学日本文学』124号、2020)など。

北京外国語大学日本学研究センター教授
秦 剛 氏

専門は日本近代文学。主な著書に『捕風者宮崎駿』(三聯書店、2015)、『戦争と日本アニメ』(青弓社、2022、共著)、『新世紀の文学研究』(ひつじ書房、2023、共著)、『労働と身体の大衆文化』(水声社、2023、共著)、『堀田善衞研究論集』(桂書房、2024、共著)など。

北京外国語大学日本語学部専任講師
曲 莉 氏

専門は日本近代文学。最近の論文に「国木田独步的华兹华斯接受的路向考述(『日本学研究』35号、2023年10月)」、「德富苏峰《新日本的诗人》的内在旨趣和隐性理路—比较文学视角下的考察」(『日語学習与研究』222号、2022年10月)、「芥川龍之介「湖南の扇」論」(『国語と国文学』98(1)、2021年1月)」など。

上海外国語大学副教授
呂 慧君 氏

専門は日本近代文学、中日比較文学。主な著書に『戦時上海グレーソーンー溶融する「抵抗」と「協力」』(共著、勉誠出版、2017)、『戦間期東アジアの日本語文学』(共著、勉誠出版、2013)など。

華東師範大学専任講師
牛 路遥 氏

専門は日本近代文学、中日比較文学。主な論文に「〈枠組み〉の崩壊—井上ひさしコントの世界」(『大衆文化』第26号、2022年9月)、「喜劇への眼差し—井上ひさし「ロマンス論」」(『立教大学日本文学』第129号、2023年1月)など。

南京理工大学教授
陳 童君 氏

専門は日本近現代文学。主な著書に『堀田善衞の敗戦後文学論』(鼎書房、2017)、『在華日僑文人史料研究』(上海人民出版社、2020)など。

中国人民大学講師
劉 妍 氏

専門は日本近現代文学。著書『横光利一研究—従〈上海〉到〈旅愁〉』(吉林大学出版社、2014)、論文「絶望に逆行する文学と思想—中国における大江健三郎文学概観」(『日本学報』、2023)、「雑誌『改造』と中国の関連性について」(『神戸松蔭女子学院大学研究紀要文学部篇』2017)など。

詳細情報

名称

【変更】公開シンポジウム「1930-40年代の北京?上海及び周辺都市における日本語出版物と文芸文化ネットワーク」

内容

【プログラム】
3月1日(土)
13:00 趣旨説明:石川巧、登壇者自己紹介(司会:秦剛氏)
13:30 個別研究発表:石川巧、多田蔵人氏、曲莉氏、陳童君氏

3月2日(日)
10:00 自由発表:牛路遥氏、木田隆文氏、王羽萌氏(司会:石川巧)
13:00 シンポジウム改造社メディアの中国言説を読み直す:中村みどり氏、呂慧君氏、秦剛氏、劉妍氏(司会:木田隆文氏)
16:15 特集全体討議(司会:木田隆文氏)
17:20 総括報告:大橋毅彦氏

対象者

本学学生、教職員、校友、一般

申し込み

  • 事前申し込み 不要
  • 参加費 無料

オンライン参加の方は備考のチラシでZoomのIDとパスワードをご確認ください。

主催

科学研究費国際共同研究加速基金(国際共同研究強化B)代表:大橋毅彦

共催

文学部文学科日本文学専修

備考

お問い合わせ

文学部文学科日本文学専修教授
石川 巧

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