公開研究会「ハンナ?アーレントとケアの倫理」
INFORMATION
思想家ハンナ?アーレントへの関心がとみに高まっている。と同時に、哲学?倫理学分野において、「ケア」の主題への関心もまた近年飛躍的に高まっていると言える。この傾向は世界的なものであり、両者を結びつけた専門的な研究が出始めている。そこで本研究会では、フランスのパリ大学にて目下フランスでケアの哲学研究を先導するフレデリック?ヴォルムスのもとで博士論文『ハンナ?アーレントとともにケアを考える——生政治とケアを超えて』を2021年に提出したポリーヌ?ベゲ氏(現在は育児休暇のために独立研究者)、同志社大学にて政治思想分野でのケアの研究の第一人者である岡野八代氏のもとで博士論文『蔑視と神聖化に抵抗するケアの思想——フェミニスト?ケア論の視点からアーレント思想を読む』を提出した對馬果莉氏に、博士論文の研究成果を報告してもらうほか、英文のアーレント研究専門雑誌Arendt Studiesの2023年7月の「アーレントとケアの問題」特集号の概要について、京都大学大学院人間?環境学研究科博士課程の林大地氏に報告をいただき、アーレントとケアの結びつきにどのような論点や課題があるのかを浮き彫りにすることを目指す。
講師
独立研究者
Pauline Bégué(ポリーヌ?ベゲ) 氏
フランス?パリ第7大学および高等師範学校を経て、博士論文『ハンナ?アーレントとともにケアを考える——生政治とケアを超えて』をパリ大学に提出。CYセルジー?パリ大学にて教鞭ととる。編著に『ケアと共感——政治哲学の新たなパラダイム』(Hermann, 2021)、論文に? Agir avec compassion, penser un soin(en)commun ?, in Soins,n°816, Paris, avril 2017.など。
同志社大学研究開発推進機構?社会学部特任助教
對馬 果莉(つしま かり) 氏
主な論文に「ケアする人と世界疎外」(『同志社グローバル?スタディーズ』vol.11、2021年)、「アーレントの「リトルロック考」を読みなおす:人格的一体性の保護としての教育」(『唯物論と現代』53号、2015年)、共訳書にジョアン?C?トロント『ケアリング?デモクラシー』(勁草書房、2024年)ほか。
京都大学大学院人間?環境学研究科博士課程
林 大地(はやし だいち) 氏
主著に『世界への信頼と希望、そして愛アーレント『活動的生』から考える』(みすず書房、2023年)、主な論文に「世界への気遣いとしての活動的生——ハンナ?アーレント『活動的生』における活動の場所指定の重要性」(『社会システム研究』第25巻、2022年)ほか。
司会進行
本学文学部文学科文芸?思想専修教授
渡名喜 庸哲
詳細情報
名称
内容
15:00 趣旨説明:渡名喜庸哲
15:10 『ハンナ?アーレントとともにケアを考える——生政治とケアを超えて』について:ポリーヌ?ベゲ氏
16:00 『蔑視と神聖化に抵抗するケアの思想——フェミニスト?ケア論の視点からアーレント思想を読む』について:對馬果莉氏
16:40 「Arendt Studies「アーレントとケアの問題」特集号(2023年7月)」について:林大地氏
17:20 ディスカッション